失明したマウスにヒトのES細胞(胚(はい)性幹細胞)からつくった網膜組織を移植すると、目の組織が光に反応したと、理化学研究所の万代道子・副プロジェクトリーダーらのチームが、米科学誌ステムセルリポーツに2日発表した。ヒトの細胞からつくった網膜組織の患者への移植につながる成果という。光は網膜組織の中の「視細胞」が感じて、脳につながる神経に信号が伝わる。例えば失明のおそれもある「網膜色素変性」は、遺伝的な原因などで視細胞が変性する病気だ。研究チームは、ヒトのES細胞からつくった未熟な視細胞を、視細胞がほぼなくなったマウスに移植。移植の約20週後、移植した細胞が目の中で成熟し、本来の層構造になった。マウス8匹から網膜の組織を取り出したところ、3匹でヒト由来の視細胞とマウスの神経がつながり、光で信号が流れることを確認した。チームは過去に、マウスのiPS細胞からつくった視細胞を、失明したマウスに移植し、光に反応することを確認していた。今後、ヒトのiPS細胞からつくった網膜組織を患者に移植する臨床研究を予定し、2018年度中の申請を目指すという。万代さんは「網膜色素変性の根本的な治療法は確立していない。移植により、視細胞の変性を遅らせることができるのではないか」と話す。
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朝日デジタル 2018.3.2
https://www.asahi.com/articles/ASL321F19L31UBQU01W.html?iref=com_api_med_focuslist
再生医療について、最近ではiSP細胞の話題が多い中、ヒトのES細胞から作られた視細胞が、光に反応するという報告がなされました。ES細胞に関しては、人の受精卵を使います。受精卵は受精すれば生命が誕生するため、これを利用するのは倫理的な問題をクリアしないといけないですが、この結果が、網膜色素変性の治療の確立に役立つようになることを切に願います。