風疹患者急増を受けて、神奈川県は平成25年以来となる「風しん非常事態」を宣言した。予防に向けた情報発信に加え、企業に対して従業員の予防接種を呼びかけるよう働きかけるという。同県健康危機管理対策課では「助成制度の周知徹底を図ることで、これ以上の拡大を何としても食い止めたい」としている。風疹は昨年7月以降、首都圏を中心に感染が拡大。県内では29年の1年間で10人だった患者が、昨年は402人にまで急増。今年も1月6日までにすでに8人が報告されている。
予防接種費拡充も
昨年と今年の計410人の内訳について、患者が発生した県内医療機関の住所別では、横浜市175人▽川崎市112人▽相模原市23人-で、100人が政令市以外の自治体。「感染者数が多い自治体を公表すると、風評被害が広がる」(同課)として、政令市以外の自治体名の公表は控えている。全国的にも拡大の一途をたどっており、国内感染者は2900人を超えたという。風疹患者の増加を受けて、県内でも自治体独自で、予防接種の費用の補助対象者を拡充するといった動きも出ている。川崎市では補正予算に8千万円を計上し、予防接種費用の対象者を昨年12月から30~50代の男性にも拡大。それまでは、妊娠を希望する女性▽妊娠を希望する女性のパートナー▽妊婦のパートナー-が対象だった。対策事業では、市内の協力医療機関で風疹抗体検査を無料で受けることができる。風疹の免疫が十分でない場合には、混合ワクチンの予防接種を自己負担3200円で接種することができる。相模原市は900万円の補正予算を計上し、風疹抗体の無料検査の対象者を、妊娠を予定または希望している女性の配偶者▽妊婦の配偶者-にも拡大。これまでは妊娠を予定または希望している女性だけが対象だった。
「ワクチン男子」動画
風疹は発症すると、全身に赤い発疹が現れ、発熱する。数日程度で症状は治まるが、妊娠初期に感染した場合、高い確率で胎児に「先天性風疹症候群」の症状が現れ、網膜症、小眼球、発育の遅れや障害を引き起こすことがある。現在30代から50代の男性は、定期予防接種の機会がなかったために、風疹の免疫が十分ではない可能性があるという。これを受けて県は、男性をターゲットにした予防啓発事業に積極的に乗り出しており、経済団体に対して、従業員が予防接種を受けるよう呼びかけている。また、県内の大学を含む各大学から選ばれた20人の「ミスキャンパス」が風疹ワクチンの接種を呼びかける動画「理想のワクチン男子」を県ホームページ上で配信している。詳細は「県風しん撲滅作戦 特設ページ」(http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/cnt/f420454/index.html)。
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産経ニュース 2019.1.15
https://www.sankei.com/life/news/190115/lif1901150028-n2.html
風しんの症状は、子供では比較的軽いのですが、大人がかかると子供に比べて長い期間症状が続き、関節痛がひどいことが多く、1週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。また、感染力は季節性インフルエンザの2~4倍と言われるほど強く、知らない間に感染し、他人にうつしてしまう可能性が高い病気です。さらに、風しんで最も怖い点は、妊娠初期の女性がかかると、生まれてくる赤ちゃんが「先天性風しん症候群」という病気にかかる可能性があることです。現在の風疹感染については、全国的に警戒レベルです。早く撲滅されることが望まれます。