医師ががんの画像を見落としたため、患者が治療の機会を逸し、死亡する深刻な事例が相次いでいる。背景には、専門領域が分化して医師や職員間で情報が共有しにくくなったり、画像診断技術が高度化し医師の目が追い付けなくなったりする状況がある。「(患者が)亡くなられた点で大変重い事案。どう再発防止を図っていくか、多くの区民が注目している」。15日に公表された東京都杉並区の検証委員会の最終答申では、行政や医師らに早期の改善を促した。昨年には東京慈恵医大病院(東京都港区)で、肺がんの疑いが発見された男性=当時(72)=が1年間放置され死亡。今年8月には北九州市立医療センターで、60代男性が肺がんを見落とされ、死亡したことが発覚するなど、近年は重大なケースが顕在化している。日本医学放射線学会によると、医療の高度化で画像診断の件数や撮影画像数が増えたため、情報量が著しく増加。画像撮影はかつて数分で1枚だったのが、息を1回止める数秒間で数百枚撮れるようになった。放射線診断専門医は約5千人いるが、検査数の増加に人員が追い付かないという。
さらに臨床医の専門化が進み、「各医師のコミュニケーションが不足するようになった」(放射線学会)。主治医は専門分野だけに注目し、周辺に写っている他の臓器に注意を払わない傾向にある。特に電子カルテが普及し、紙の報告書でやり取りすることが少なくなり、メールで画像を添付し開くことなく放置されるケースもあった。医療事故情報を収集している日本医療機能評価機構が、平成27年1月~今年3月までに報告された37件の画像見落としを調べたところ、大半のケースで見落としていた部位が主治医の専門外だった。画像には専門外の周辺の臓器が写り込み、医師の目が届きにくかったという。患者側に自衛策はあるのか。医療過誤に詳しい小林洋二弁護士は「検査情報を医師に要求し、患者側で管理してもよい。他の医師によるダブルチェックに利用したり、見逃した事案に対抗できる」と話した。
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産経ニュース 2018.11.16
https://www.sankei.com/life/news/181116/lif1811160005-n1.html
医療の高度化で画像診断の件数や撮影画像数が増え、情報量が著しく増加することにより、かえって診断が難しくなってきたとの事です。確かに、大量の情報の処理をするには、マンパワーが必要になりますが、専門医などの人員の数を考えると、限界もあるのかもしれません。すごく難しい問題かと思いますが、ダブル・トリプルチェックなどを行い、少しでも見落としやミスが起きないようにする対策が必要ですね。