製薬企業と医師との「不適切な関与」が疑われる事案がまたも発覚した。バイエル薬品によるカルテの無断閲覧では、社員が「アンケート」を名目に自社製品をアピールする意図がうかがわれた。厚生労働省によると、人の健康に大きな影響を与える医薬品の広告や宣伝は、法律で厳しく規制されている。医師の処方箋が必要な医薬品について効能や効果を宣伝することは禁止されており、直接の商品名でなく会社や病気について理解を求める内容の宣伝が流されているのはそのためだ。
製薬企業は自社製品について、医療機関に情報提供する必要があるが、過剰な接待や利益提供は業界の自主基準で規制されている。ただ、業界が自主基準を厳格に順守しているとは言い難い。東大病院などで行われた白血病治療薬をめぐる臨床研究では、複数の製薬企業の社員が資料を作成したり研究計画に関わったりする不適切な関与をしていた。高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究事件では、研究にノバルティスファーマの社員が関わり、データに関与したとされる。事件を受け、不正を防止する臨床研究法が7日、成立。ただ、今回のアンケートのように、臨床研究の形を取らない場合は法律の対象外だ。研究不正に詳しい医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は「血栓症治療薬はライバルの多い熾烈(しれつ)な業界。だが、医師には患者の情報を守る守秘義務があり、カルテを見せるなどあってはならない」と話している。
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産経ニュース 2017.4.11
企業の研究への関与は、過去にも問題になったことから、不正を防止する臨床研究法が示されましたが、「臨床研究関与」をしていない場合などには適用されず、検討の余地がありそうです。今回は、アンケートの形で、カルテの閲覧が行われており、不正と認定するのは難しい可能性がありますが、カルテの閲覧に伴う個人情報の保護の観点からは、違法となりそうです。我々も、内部・外部を問わず、情報の漏えいや無断閲覧について、きちんとした対処をしていかなければなりませんね。