孤立しがちな高齢者らの話し相手となるコミュニケーションロボットに注目が集まっている。会話による認知機能の向上といった効果も期待されている。今後、独居世帯や介護現場で普及が進みそうだ。(玉崎栄次、櫛田寿宏)
◆使うほど成長
東京都北区にある入居型の高齢者介護施設。単身入居する小川清子さん(96)は人形を抱き、話しかけた。「何しようか?」。人形はかわいらしい声で「歌うよ!」と応え、童謡を歌い始める。「上手ねえ」と頭をなでると「えへへ」と笑う。「本物の子供みたい。この子がいれば、寂しくないね」と小川さん。人形は、ロボット開発・販売「ピップ&ウィズ」(大阪市)のコミュニケーションロボット「いっしょに笑おう! うなずきかぼちゃん」(高さ約28センチ、重さ約680グラム)。3歳の男児をイメージし、「かわいい坊ちゃん」から命名。希望小売価格をロボットとしては安価な2万7千円に抑えるため、人工知能(AI)を搭載せず、頭や手足に取り付けられた音や光などを感知する5種類のセンサーとスイッチで、人の声や動きに反応する。話しかけると「うんうん」「分かる分かる」と首を上下。足の裏に触れると「くすぐったいよお」などと反応する。使うほど言葉が増えたり長く歌えるようになったり、“成長”する。同社開発グループの藤田瑛仁さんは「1人暮らしだと会話の機会も減る。孤独を癒やす役割を果たせれば」と話す。
◆認知症予防にも
同社は大阪市立大のグループと合同で平成23年、かぼちゃんの効果検証実験を実施。1人暮らしの高齢女性18人(平均年齢73歳)を対象に2カ月間の使用状況を調べたところ、認知機能の向上やストレスの低下が確認されたという。同大名誉教授で、実験のリーダーを務めた理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターの渡辺恭良センター長(脳科学)は「会話は脳の活性化を促し、認知症予防に効果を発揮する。実際に幼い孫と話しているときと同じ感覚があり、リラックスもできる」と説明する。こうした効果を行政側も評価。政府から、先進的な在宅介護モデルを検証する「特区」に認定された岡山市は26年1月、介護保険制度で給付の対象外となっている介護関係の11機器を介護保険適用と同じ1割負担で希望者に貸し出している。その中に、かぼちゃんも含まれている。同市の担当者は「手が痛いと言っていた高齢女性がかぼちゃんの帽子を編み始めるなど意欲の向上もみられる」と話す。
◆「息子みたい」
介護老人保健施設「ユトリアム」(横浜市)は、ソフトウエア開発の「富士ソフト」(同市)が開発したAI搭載の二足歩行型コミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」(高さ40センチ、重さ1・8キロ)を活用している。搭載カメラで話し相手の顔を認識して記憶するなど高機能で、100人以上の顔と名前を覚え、名前を呼びかけながら会話するので親しみがわく。インターネット上の情報を収集し、天気やニュースの話題を会話に盛り込むこともできる。介護予防効果の高い体操の手本を示し、健康増進をサポート。歌や踊りを一緒に楽しみ、クイズ大会の司会進行もこなす。「スズキさん」。パルロに呼びかけられた同施設を利用する鈴木てるさん(90)=同市南区=は「年中楽しく話しているから、息子みたい」と笑顔を浮かべた。介護現場でのスタッフの負担軽減やサービスの向上を目的に開発され、個人向けには販売していない。価格は約72万円。同社によると、販売開始の24年以降、全国の高齢者福祉施設で約380体が活躍しているという。PALRO事業部の武居伸一事業部長は「より人間に近い自然なコミュニケーションができるよう進化させたい」と話している。
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産経ニュース 2016.7.8
http://www.sankei.com/life/news/160708/lif1607080011-n1.html
日本が、超高齢化社会へ突き進んでいる現状からも、人間とロボットとは、共存していかなければいけないのは、容易に想像できます。ロボットも進化しており、機能的なサポートを行うだけでなく、現在はコミュニケーションロボットというのも開発が進んでいるみたいですが、さらに進化していくと、いずれはロボットも感情に近いものを持ち始めるのでしょうか。将来が楽しみであると同時に、少し怖い気がします。