腸内細菌のバランスの悪い母親から生まれた子に、周りへの適応が難しいといった発達障害でみられる一部の症状がマウスの実験で確認されたと、福井大(福井市)の栃谷史郎特命助教(神経科学)らの研究チームが発表した。発達障害の原因は様々あるとされるが、母親の腸内環境の調整が子の発達に影響する可能性があるとしており、仕組みの解明が待たれる。21日の米電子版科学誌プロスワンに論文が掲載された。 人間の腸には1000種以上の細菌が宿り、健康に深く関係する。子どもは、産道を通るときや、母親からの授乳、周りの環境に応じて口から細菌が腸に入る。荒れた食生活や抗生剤の大量摂取などによる腸内環境の悪化は肥満や肝障害などの発症に関わるとされる。
チームは、抗生剤を与えて便に含まれる細菌量を通常の2%ほどに減らした母マウスの子18匹と通常の子22~29匹で、広い空間での行動などを比較した。結果、通常のマウスは好奇心で空間の中心に向かい、夜行性のために暗い空間では歩き回るのに、腸内細菌の少ない母マウスの子は壁沿いにとどまる異常な行動が目立ち、中心にいる時間が通常より約3割減、夜間の行動量も最大3割以上少なかった。
また、腸内細菌の少ない母マウスの子が通常の母マウスに育てられた場合、子に問題はなかったが、通常の母マウスの子を腸内細菌の少ない母マウスに育てさせた場合は、子の行動に異常が見られたため、チームは、出生後の子の脳の発達に母親の腸内環境が関連している可能性を指摘。腸内環境の改善に効果のある微生物を母子マウスに投与し、子の行動をみる研究も始める予定で「母体や新生児期の子の腸内環境を良好にすることで、子の発達障害の一部が予防できるかもしれない」としている。
>>
Yomiuri online 2016.1.22
http://www.yomiuri.co.jp/science/20160121-OYT1T50168.html?from=ycont_top_txt
腸内環境の改善が、子供の発達障害の予防につながる可能性を示唆した論文が、米電子版科学誌に掲載されました。以前に、健康な大腸環境の人の便を採取し、これの細菌成分を大腸に移植することで、腸内環境の健康が回復する症例が報告されていましたが、最近では特に、大腸環境については、注目されているトピックです。まだ「予防につながる」臨床応用は先のようですが、今後に注目していきたい記事ですね。