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大阪大大型教育研究プロジェクト支援室主催のサイエンスカフェ(科学者と一般市民が気軽に語り合う活動)が21日に大阪市内で開催された。この中で、同大産業科学研究所の西野邦彦准教授は、多剤耐性菌のメカニズムを利用した、「細菌を殺さない」手法による、新たな抗菌薬の研究を紹介した。
多剤耐性菌とは、複数の抗菌薬が効かなくなった細菌のことで、近年、臨床現場などに出現し、抗菌薬で治療できない感染症として深刻な問題となっている。
西野准教授は、抗菌薬が開発されるまでの歴史に触れ、ペニシリンをはじめ、様々な抗菌薬が開発されてきた経緯を説明。その上で、「薬が効かない細菌に対抗するために、新しい抗菌薬を開発するたびに、必ずそれに耐性を示す細菌が出てくる、という“いたちごっこ”の繰り返しの状態が続いている」と述べた。
それでは、なぜ抗菌薬が効かなくなるのか。細菌は、増殖し、体内で一定の量に達すると、細胞間で情報を伝達し合い、毒性を示すようになり、宿主であるヒトを攻撃し始める。いずれの抗菌薬も、細菌の遺伝子複製阻害やタンパク質合成阻害などで、細菌のメカニズムそのものに作用する仕組みで開発されている。しかし、薬剤が作用する部分に変異が起こってしまうと、薬が効かなくなることが分かってきた。
西野准教授は、薬が効かなくなる仕組みの中で、細菌内にある薬剤を外へ排出する性質があるタンパク質に着目。大腸菌の遺伝子配列を解析したところ、潜在的に薬剤に抵抗できるタンパク質が37本暗号化されており、さらに、そのタンパク質を1本ずつ調べたところ、37本のうち20本が、多剤耐性に関与できることが判明した。つまり、細菌は、潜在的に数多くの薬剤耐性因子を保有していることになる。また、耐性だけでなく病原性発現等の生理機能を担っていることも分かってきた。
西野准教授は、まだまだ開発段階であるとしながらも、「今までの抗菌薬は、細菌自身を殺すところに着眼して開発されてきたが、現在我々が取り組んでいるのは、細菌の細胞間の情報伝達の阻害や、細菌が出す毒性物質をブロックする薬の開発。そうすることで、細菌を殺さず、病原性を弱めて、ヒトと細菌が共生できる。その手法を用いれば、耐性菌を生み出さない、新たな薬の開発につながるのではないかと考えている」と述べた。ほかにも、多剤耐性菌を早期発見・診断するためのデバイス開発も進めており、実用化が待たれる。【坂本朝子】
>>>なるほど、悪い細菌を殺すんではなくおとなしくさせる。そうすると反抗しなくなるんですね。
