アピタル http://apital.asahi.com/article/news/2013011100022.html
2011年に東京電力福島第一原発から20キロ圏内にあった老人保健施設などから避難した高齢者の死亡者数が、前年の2・4倍に増えていた。事故後3カ月間では3倍だった。死因の4割は肺炎。防災の不十分さや避難による生活環境の悪化が原因とみられる。
福島県立医大などの研究チームが、原発20キロ圏内の特別養護老人ホームといった介護施設など34の高齢者施設が定期的に県に行う報告の内容を分析した。
11年3月の事故当時の入所者は1770人で、11年10月末までに295人が死亡した。10年の同時期の死亡は109人。津波による死亡者32人を除いても、入所者千人当たりの死亡者数は10年の同時期の2・4倍だった。事故後3カ月に限ると3倍に達していた。
避難した高齢者は、寝たきりから身の回りのことは自分でできる人まで様々な状態の人たちがいた。全員、政府の避難指示で20キロ圏外の病院や学校の体育館などへ、緊急避難した。その後、県内外の他の特養や老健施設などに移ったとみられる。
死亡した295人の死因の4割が肺炎だった。通常、65歳以上の死因のうち、肺炎は1割程度だ。
研究チームの安村誠司・県立医大教授(公衆衛生)は「避難所などが寒くて気管支炎になったり、十分なケアを受けられずに誤嚥(ごえん)性肺炎になったりした可能性がある」と分析する。
この結果は英科学誌で報告された。
国などの原子力災害の防災に関する検討会では、患者を安全に移動させる手段などが整うまでは施設内に屋内退避していた方が、患者への負担が少ないとの意見も出ている。病院には非常電源や食料や水、毛布などの備蓄があるという前提だ。しかし、今回の調査では、老健施設などには、屋内退避に必要な非常電源も食料や水などの備蓄もほとんどないことも分かった。
安村さんは「今回の調査で、対象の施設では、具体的な避難の手引や計画もなく、訓練もしていなかった。老健施設などは病院より災害への備えが遅れている。国や自治体が連携して対策をとる必要がある」と指摘する。
>>>誤嚥性肺炎も原因の一つを占めているようです。口腔ケアも重要です。