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http://sankei.jp.msn.com/life/news/121019/bdy12101908000002-n1.htm
脳梗塞や脳出血などの治療後、集中的なリハビリを行うのが「回復期リハビリテーション病棟」。まひの残る体で、歩く、食べる、排泄(はいせつ)などの自立に取り組む。後遺症が重いと、口から食べることが困難になるが、口腔(こうくう)ケアに取り組み、「口から食べる」を支援する病院も増えている。(佐藤好美)
鳥取県米子市にある「錦海(きんかい)リハビリテーション病院」。(中略)同院は、集中的なリハビリで自宅復帰を促す「回復期リハビリテーション病院(病棟)」で、在宅復帰率は80%を超える。言語聴覚士(ST)でもある竹内茂伸副院長は「うちは『口から食べる』を支援する病院。口から食べられると、家族の介護負担が減り、家に帰りやすい。患者本人にとっても食べることは大きな楽しみです」と言う。
米子市に住む小林千代さん(64)=仮名=の夫(70)は、くも膜下出血の治療後に転院した。当初は寝たきりで、排泄はおむつ。言葉も発せず、栄養摂取は胃に直接、管で栄養分を入れる「胃ろう」だった。しかし、ある日、スタッフがアイスクリームを夫の口に入れると、夫はゆっくりと口を動かした。小林さんは「すごくうれしかった。胃ろうになったら元に戻らないと思っていたけれど、希望を持った」。ただ、再び話したり、食べたりするまでの過程は容易でなかった。日に3時間のリハビリが連日、マンツーマンで行われた。立つ、歩くなどの運動機能や、手指のリハビリだけではない。このうち1時間はSTによる発語や嚥下(えんげ)のトレーニング。歯科医との連携で、抜けたままになっていた部分に義歯も入った。小林さんの夫は半年後には話したり、軟らかい食事を食べたりできるようになり、胃ろうを抜いて退院した。小林さんは「そこらじゅうに管が付いていた夫の状態を知る人は、信じられないと思う」と話す。退院後も骨折や誤嚥(ごえん)性肺炎で入退院を繰り返したが、その都度、同院を経て自宅復帰した。
もちろん、全ての患者が口から食べられるようになるわけではない。同院の実績では、小林さんの夫のように入院時に重度の摂食・嚥下障害のあった人で、管を抜いて出られた人は27%。入院時に何らかの経口摂取はできたが、経管による代替栄養が必要だった中等度の人で、退院時に管を取れた人は8割だった。小林さんは「主人は認知症もあり、会話の内容ははっきりしないが、食べ物を見ると、うれしそうにする。満足していると思います」と話している。