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医療経済新聞
厚生労働省は10月29日、グランドアーク半蔵門において、第83回社会保障審議会・医療保険部会を開催し、「医療保険制度改革について」の議論が行われた。 議題に含まれた「被保険者の所得水準の高い国民健康保険組合に対する国庫補助の見直し」について、日本歯科医師会から出席している委員の堀憲郎常務理事は、下記のような問題点を指摘して、拙速な議論とならないよう苦言を呈した。
1)所得比較について、規模の大きな法人病院と小規模な個人立の診療所においては、所得水準の単純比較はできない。歯科の医療機関はその8割以上が医療法人ではなく、小規模な個人立診療所であることから、実質的には資料にある数字からずっと小さくなる。
2)「国保組合の特殊性の問題」として「自家診療の請求自粛」等多くの特異な側面があることは説明してきたが、「組合特定被保険者の存在」も特異性のひとつとして上げられ、全体の1/4程度存在し、年々増えているという事実がある。
3)歯科医師国保組合というと歯科医師だけが加入している組合と誤解されがちだが、歯科医師国保組合では実質的な所得が高いとは言えない歯科医師の他に、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手等が加入しており、そのスタッフの割合は加入者の40%を占め、更にその9割が女性である。
4)資料では5年前の所得調査のデータを使っており、古い。5年に一度行われるこの所得調査では、現在最新の26年度調査は集計中となっており、実質的な所得に関する評価は最新のデータで行うべきと考える。
そのうえで、「今後更に必要なデータ等を収集し、健全な運営を損なわない範囲で補助率の議論をするのであれば理解はするが、様々な問題や特殊性を考慮せず、事業仕分けB案として示されたような制度設計では全く現実的では無く反対せざるを得ない」と見解を述べた。
>>社会保障審議会・医療保険部会で国保組合の国庫補助の見直しについての話題となっていますが、やはり、国保組合の現状や、きちんとしたデータの裏づけのもとで、議論をしてほしいと思いますが、なかなか難しいみたいですね。堀理事の発言の通りですが、様々な問題や特殊性を考慮せず、事業仕分けB案として示されたような制度設計では全く現実的では無いというのは、是非考慮してもらいたいと思います。