「平成23年患者調査の概況」、全国の総患者数では「高血圧性疾患」が最多、「歯肉炎及び歯周疾患」が3番目

医療経済出版 http://www.ikeipress.jp/archives/5571

厚生労働省は11月27日、平成23年10月の調査に基づく「平成23年患者調査の概況」を公表した。歯科診療所の推計患者数は、全国(福島県および宮城県の石巻・気仙沼医療圏を除く)で136万2千5百人、男女別では男性583万人、女性779万5千人だった。
 主な症病の全国(同上)の総患者数では、もっとも多いのが「高血圧性疾患」で906万7千人。「糖尿病」が270万人、次いで「歯肉炎及び歯周疾患」265万7千人、「う蝕」194万5千人、「高脂血症」188万6千人となっており、歯科分野の疾患は「歯肉炎及び歯周疾患」と「う蝕」の2つのみだが、それぞれ3番目、4番目に多い疾患となっている。
厚生労働省のホームページ

>>>歯科疾患の潜在患者はもっと多いと思います。受診率の向上が国民の健康にとって重要ではないかと思います。

歯科衛生士による社会貢献活動「Goodbye Perio プロジェクト」が記者発表会

医療経済出版 http://www.ikeipress.jp/archives/5516

歯科衛生士による社会貢献活動「Goodbye Perio プロジェクト」の記者発表会が12月6日、東京・渋谷の「こどもの城」研修室で開催された。「Goodbye Perio プロジェクト」は、歯周病予防を通じて国民の健康増進を目指すもので2012年1月に発足。Webなどを通じて歯科衛生士の輪がひろがり、現在のメンバー数は1,500名を超えているという。午後には歯周病専門医の田中真喜氏の講演が行われ、約40名の歯科衛生士が参加した。

>>>歯科衛生士さんも頑張っているようです。

「平成23年 国民健康・栄養調査」、歯科健診や専門家による口腔ケアの受診頻度は「半年に1回以上」が21.9%

医療経済出版 http://www.ikeipress.jp/archives/5527

 厚生労働省は12月6日、「平成23年国民健康・栄養調査結果の概要」を公表した。同調査は健康増進法に基づき毎年実施されている。今回調査は平成23年11月分で、東日本大震災の影響のため、岩手県、宮城県、福島県を除いて実施されている。
 第7章として「歯の健康に関する状況」があり、1)入れ歯の使用状況、2)歯科健康診査や専門家による口腔ケアの受診頻度、3)咀嚼の状況、が掲載されている。2)の歯科健診や専門家による口腔ケアの受診頻度を見ると、「半年に1回以上」が21.9%、「1年に1回程度」が26.5%で合計48.4%となっている。年代別では60から69歳で合計54.7%ともっとも高くなるが、70歳以上では合計52.0%と若干低下している。
厚生労働省のホームページ

>>>健康のためには口腔ケアの受診頻度がさらに上昇していくような試みが必要ですね。

妊娠中の喫煙が孫にまで悪影響、米動物実験

メディカルトリビューン http://kenko100.jp/news/2012/11/30/02

ニコチンによるぜんそくへの影響

妊娠中の喫煙は胎児にさまざまな影響を与えると報告されており(関連記事1関連記事2関連記事3)、ぜんそくなどの呼吸器の病気もその一つとされている(関連記事4)。ところがこの影響は、胎児だけでなくさらに次の世代まで引き継がれる可能性があることが分かった。米ロサンゼルス生物医学研究所のVirender K. Rehan氏らが英医学誌「BMC Medicine」(2012; 10:129)に発表した論文によると、母ラットが摂取したニコチンによるぜんそくへの影響は胎児ばかりでなく、胎児の将来の子、つまり母ラットの孫にまで同様の影響を与えるという。もちろん、子ラットが親になるまでに一切ニコチンを摂取していなくても。

疫学的・実験的に示された孫への影響

近年、著しい増加傾向にある小児ぜんそくの原因の一つとして、妊娠中の母親の喫煙が挙げられる。米国人女性の12%は妊娠中も喫煙を続け、その結果、少なくとも年間40万人の新生児が母体内でニコチンにさらされていると考えられている。

さらに、2005年に南カリフォルニアで行われた疫学研究では、母体内でニコチンにさらされた新生児は、出生後から親になるまで一切喫煙歴がなくても、その子供が小児喘息になりやすい傾向があると報告された(「Chest」 2005; 127: 1232-1241)。つまり、妊娠中に喫煙した母親の影響は、その子供ばかりではなく、孫にまで影響を及ぼす可能性が示唆されたのだ。

この疫学的事実を実験的に確かめる目的でRehan氏らは、母ラットにニコチンを投与すると子ラットに小児ぜんそく症状が起きることを確認、さらに「PPARγ(ガンマ)」というタンパク質を活性化させる「ロシグリタゾン(rosiglitazone)」(日本未承認、海外では糖尿病治療薬として使用)をニコチンと同時に母ラットへ投与すると、子ラットのぜんそく症状が抑えられたと、昨年に報告している(「American Journal of Physiology Lung Cellular and Molecular Physiology」 2011; 300: L710-717)。

今回の報告では、子ラットにはニコチンを投与していないにもかかわらず、孫ラットにも同様の症状が有意に生じること、孫ラットの症状も孫ラットを妊娠中の子ラット(孫ラットの母ラット)へのロシグリタゾン投与で抑制できることが示された。

エピジェネティック変異が鍵

さらにRehan氏らは、ニコチンがぜんそく症状を引き起こすメカニズムを探る目的で、母ラットに投与したニコチンが、子ラットに後天的な遺伝子変異であるエピジェネティック変異※1を起こすかどうかを調べた。その結果、肺でのDNAメチル化※2には変化がなかったものの、DNAに結合するタンパク質「ヒストン」を見てみると、ヒストンH3のアセチル化※3は上昇、ヒストンH4のアセチル化は減少していた。

ニコチンと同時にロシグリタゾンを投与することで、肺におけるヒストンH3のアセチル化上昇のみが抑えられたことから、ニコチンの作用はヒストンH3のアセチル化を介したものであることが示唆された。もちろん、ロシグリタゾンだけの投与では、どのエピジェネティック変異も起きることはなかった。

最後に、ニコチンの作用が孫の代まで引き継がれたメカニズムに関しては、今回の研究ではほとんど言及されていない。しかし、上記のエピジェネティック変異が、単純に次世代へと継承されたわけではない可能性が指摘されている。というのも、胎児の体の中にはすでに将来の生殖細胞(精子や卵子など)の元となる「始原生殖細胞」があり、ニコチンはその細胞に直接作用した可能性があるからだ。

いずれにせよ、もしこの小児ぜんそく症状がさらに次の世代(ひ孫)以上にまで引き継がれれば、エピジェネティック変異の遺伝である可能性が高くなるため、Rehan氏らは引き続き観察を続けていくとしている。

(サイエンスライター・神無 久)

      ※1 エピジェネティックス……DNA配列の変化に関係なく遺伝子の発現を促したり抑えたりする仕組み。DNA配列が同じ一卵性双生児が、年齢を重ねるにつれて見た目や性格が異なってくることにも関与しているとされる。
  • ※2DNAメチル化……DNA配列の一部分がメチル基という分子にくっつくこと。エピジェネティクスの作用メカニズムの一つ。遺伝子の発現が制御される。
  • ※3ヒストンのアセチル化…タンパク質ヒストンの中にアセチル基が取り入れられること。遺伝子の発現が活発化される。

>>>たばこは「百害あって一利なし」だそうで

ひまわりが咲く日:児童虐待を追う 現場最前線/1 被害の実態、赤裸々に /奈良

毎日新聞 http://mainichi.jp/area/nara/news/20121123ddlk29040603000c.html

◇ガイドに医師たちの思い

 一冊のガイドに医師たちの思いがつまっていた。

 虐待から一人でも多くの子供を救いたい。そのためには、「虐待」と診断すべき方法を示すだけでなく、被害の実態を赤裸々にするしかない。収められた数十枚のカラー写真は、その悲惨さを雄弁に語っていた。

 首を絞められた跡、カッターナイフで肩から腰まで切られた傷、赤くじくじくとしたやけど、全身に広がるうみと湿疹(しっしん)。多くが児童で、生後間もないとみられる赤ちゃんの写真もあった。

 掲載されたのは、県発行の医師用「児童虐待防止ビジュアルガイド」。中心となって昨年3月、作成したのは十数人の医師。勤務医だけでなく、開業医も参加した。領域は小児科、救急、法医学、脳神経外科など幅広い。

 医療機関が診療を通じて虐待を知る機会は少なくない。しかし、県内の児童相談所への通告は昨年度、全体の約2%。多くの医師は関心が低く、虐待を疑っても通報をためらっている現実が浮かぶ。このガイドはその意識改革も狙った。

 ◇事故か否かの診断、難しいケースも

 「虐待の本当の悲惨さを知っていますか」。作成メンバーの1人で、県立医科大付属病院(橿原市)の小児科医、嶋緑倫さん(58)は、記者に問いかけた。

 「ガイドの写真を見ると、抵抗ができない子供を相手に、『これが人間のやることか』と思うほどひどい」。一方で、虐待か否か、診断するのが難しいケースも経験している。

 3、4年前、救急搬送されて来た生後数カ月の赤ちゃん。頭蓋骨の内部に出血を起こしていた。両親は「落ちた」と説明したが、落ちてできたものとは思えなかった。

 「医者としてこれは児童相談所に通報(通告)しないといけません」。はっきり伝え、通告した。その後、どうなったのか。

 両親は現在、歩くことも話すこともできない重度の障害が残った女児を献身的に介護している。結局、「落ちた」のは虐待だったのか、事故だったのか。今でも分からない。

 県立医科大付属病院は今年4月、研修医を対象に児童虐待の講習を初めて行った。ガイドを配布し、たばこを押しつけられるなどした子供の写真をスライドで紹介。痛ましさに、顔を背ける研修医もいた。法医学と小児科の医師が講師を務め、早期発見の大切さを訴えた。来年度も行う予定で、担当者は「医療の最前線に出る研修医に、虐待が実際にどんなものなのか知ってもらいたい」と話す。

◇未処置の虫歯、重要なサイン

 「虐待は、口の中を見れば分かる」

 橿原市の歯科医、打谷美香さん(48)は、今春の歯科健診で、ある小学生の歯を診て驚いた。ほとんどが虫歯。前年のデータを見ると、状況は同じで、治療した形跡はなかった。異常なストレスがかかって、虫歯を防ぐ唾液がでていない可能性があり、親が治療をさせていないことは明らかだった。カルテにネグレクト(育児放棄)の疑いと書き込んだ。

 親などから不適切な扱いを受けていると思われる多くの子供を診てきた。「泣いている子はもっといる。守ってあげたい」。今年2月に県が発行した歯科医用「児童虐待予防マニュアル」の作成にかかわった。

 打谷さんら歯科医の有志が、虐待のため一時保護された県内の2〜18歳の子供108人について、歯の診療状況を調べたところ、一般に比べ、未処置の虫歯の本数と所有率が高い傾向が分かった。虫歯は虐待の重要なサインだった。

 昨年から、児童養護施設や乳児院で歯ブラシの使い方を教えるなどのボランティアを始めた。「子供とかかわるすべての人が虐待についての意識を高めてほしい」。一児の母親の思いでもあった。【岡奈津希】

長年の頭痛・糖尿病・脳梗塞の原因は、なんと“歯”!?

Business journal
http://biz-journal.jp/2012/11/post_1070.html

「歯科による身体の病気の治療」を拒む医療利権

長年の頭痛・糖尿病・脳梗塞の原因は、なんと“歯”!?

【この記事のキーワード】医療 , , 病気

「Wikipedia」より

「吐き気がするほどひどい頭痛で、脳外科でCTやMRIを撮ったけれど異常なし。それが、歯医者に行って治ったんだから拍子抜けです」

 こう話すAさん(37歳)は元看護師。人体の仕組みは一通りわかっている彼女からしても、強い頭痛の原因が「歯」であるとはよもや想像しなかった。「脳外科のほかに、眼科、心療内科も回ったんですよ。それでも何年も治らなかったのに……」と驚きを隠せない。

 近年、歯の不調による全身への影響が少しずつ明らかになってきた。都内で歯科クリニックを開業するB氏は、次のように説明する。

「心臓病や脳梗塞は、歯周病菌によって引き起こされることがあります。歯磨きをサボっていると歯の表面に『プラーク』(歯垢)がたまることはご存じでしょう? それが、血管の中にもたまるんです。歯周病菌は、腫れた歯肉を通って全身の血管内に侵入します。プラークが剥がれて心臓の血管が詰まると、狭心症や心筋梗塞といった心臓病。脳の血管が詰まると脳梗塞です」

 Aさんのケースも、プラークが脳の血管に影響していたと考えられなくもない。あるいは、歯の噛み合わせが悪いことが原因の可能性もある。実は、Aさんが受けた治療は、「かぶせ物が取れたまま放置していた奥歯に、きちんと銀歯をかぶせた」というもの。奥歯が全身に与える影響は計り知れないことを、神奈川県内の歯科クリニックの院長C氏は語る。

「つい最近、右腕がしびれて動かすことができなかった実父の症状が、噛み合わせの調整でアッサリと治りました。父は加齢によって奥歯がすり減っていて、あちこちに噛み合わせのズレが生じていました。ほんの1ミリにも満たないズレですから食事や会話には不都合がなく、本人は気がつきません。しかし、奥歯でしっかり噛むことができないと、徐々に全身の骨格がゆがみ、頭痛や手足のしびれ、関節痛といった不定愁訴(特定の病気によらない不調)を招きます。それを慎重に削ったり、詰め物を盛ったりして高さを調整すると、うそのように症状が消えることがあるのです」

●歯周病と生活習慣病

 歯が原因となる全身の病気は、それだけではない。C氏は、歯周病と生活習慣病との関連を説明する。

「歯周病菌が歯茎を通って全身に回ると、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔してしまいます。歯周病になると、糖尿病の症状を悪化させたり、それまで糖尿病ではなかった人も血糖値をうまくコントロールできなくなったりしやすいのです。最近ではメタボリックシンドロームや高血圧など、ほかの生活習慣病も歯周病菌が原因の1つとする報告もあります」

 不定愁訴や生活習慣病で病院を受診すれば、当たり前のように薬を処方される。しかし、薬を飲んだからといっても根本的に治るわけでもなく、多くの人は長期にわたって服薬を続けることになる。C氏は、歯科による全身疾患の治療がもっと広まれば、医療費を大幅に削減できると考えている。

「例えば高血圧。薬の量の規定を少し減らすだけで、年間6000億円以上が浮くはずです。医療のあり方は、もっと改善の余地があります」

●医科と歯科の格差

 では、なぜそうならないのか? C氏は医科と歯科の埋められない格差の存在を指摘する。

「治療技術を全国に普及させるには、大規模な臨床試験を行って統計データを取り、論文を発表する必要がありますが、時間も費用も膨大にかかります。医科がそれをできるのは、薬品メーカーによるバックアップ体制が絶大だからです。病院では大量に薬を使うため、薬品メーカーは医師に対して臨床試験やデータ収集の手伝いを惜しまないんですね。学会発表で使うスライドを薬品メーカーが作る、などということはよくあることです。まあ、利権ですよ」

一方で、歯科はというと……。

「歯科で使う薬の量はたかが知れていますから、薬品メーカーからするとマーケットの規模が小さいわけです。医科のような支援は受けられません。ただでさえ最近は歯科クリニックが林立し、競争のために診療時間を延ばさざるを得ないケースが増えていますから、論文執筆の時間を取れない歯科医も多いことでしょう」(C氏)

 前出のB氏は「日本ほど歯科医の地位が低い国はそうありません。アメリカなどの歯科医は全身の医学も学びますから、歯科医師と医師はさほど変わらないポジションだと認識されています。日本も、もう少し歯科医に発言権があっていいはずなのですが……」と嘆く。

 近い将来、日本の歯科医が医師ほどの発言力を持つことは、あまり期待できない。となれば、「体の不調を治すのは病院だけじゃなく、歯科にも可能性がある」と知っていた人だけが救われるはずだ。頭痛などの悩みがある人は、いつもの歯科医に「噛み合わせで頭痛が治るって本当ですか?」と尋ねてみてはいかがだろうか。

歯磨きに“おまけ効果”、食道や口腔がんなど予防

あなたの健康百科

http://kenko100.jp/kenko/2012/11/20/01

歯磨きに“おまけ効果”、食道や口腔がんなど予防

発がん物質作る菌減少か

日頃、虫歯や歯周病予防のために行っている歯磨きによって食道がんや口腔(こうくう)がんなどの発症率が下がるという。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の松尾恵太郎室長らが約4,000人に行った調査結果だ。歯磨きによって口の中が洗浄され、発がん物質を作る細菌が減るとみている。日本人を対象にしたこうした調査は初めて。

磨かないと高発症率

健康な人2,883人と食道および頭頸(とうけい)部がん患者961人(食道434人、頭頸部527人)に歯磨きの習慣を聞いた。頭頸部がんは口腔、咽頭、喉頭の各がんの総称で、口腔は舌を含めた口の中の粘膜、咽頭はのど、喉頭は気管の入り口辺りを指す。

1日に「1回磨く」は、健康な人1,049人、がん患者465人、「2回以上磨く」は、同1,736人、同437人、「磨かない」は、同43人、同34人。ほかは「不明」だった。

歯磨きの回数とがん発症率の関係を見たところ、食道がんは「1回磨く」人に比べて「2回以上磨く」では22%低く、「磨かない」では逆に81%高かった。同様に頭頸部がんでも26%低く、79%高かった。

朝、昼、晩の1日3回励行を

食道がんや頭頸部がんの原因としては、喫煙、飲酒、熱い食べ物の摂取のほか、食道がんでは肥満、咽頭がんでは最近はヒトパピローマウイルス(HPV)の関与も指摘されている。

では、歯を磨く人でなぜ発症率が低いのか。松尾室長によると、歯磨きによって

  1. 口の中にある体に悪いといわれる物質が洗い流される
  2. 飲酒に伴いアルコールが酸化されてできる発がん物質アセトアルデヒドを作る細菌の量が減る

―などが考えられるという。

松尾室長は「歯磨きは歯をきれいにする普通の磨き方で結構です。そうすれば、おまけとして今回のような結果が付いてくると考えてください。朝、昼、晩、コンスタントに磨くのがよいでしょう」と話している。

>>>>>歯磨きのメリットが一つでも増えれば 我々が患者さんに指導する時の引き出しが増えていいですね。

肺炎予防に口腔ケア

My Town 鳥取(朝日新聞)

http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000531211170001

「たかが肺炎」と甘くみてはいけません。高齢者が亡くなる原因として肺炎は脳血管疾患より多く、がん、心臓病に次ぐ第3位。口の中を清潔に保ち、のみ込む力を鍛えるなど普段からできるケアを取り上げます。

◆「誤嚥性」、就寝時が要注意

今月5日、山口県宇部市の有料老人ホーム「際波あかり苑」。ほかお歯科クリニック(同市)の歯科医、島津正隆さん(38)らが診療車でやって来た。月に1度の口腔(こう・くう)ケアの日だ。(中略)この施設では今年6月のオープン当初から、専門家の定期的な口腔ケアを入居者に勧めている。細菌を含んだ食べかすや唾液(だ・えき)が気管から肺に入り込むと炎症を起こし、「誤嚥(ご・えん)性肺炎」になることがあるためだ。

誤嚥は病気や加齢で口やのどの筋肉が緩むなどし、のみ込む力が低下するために起きる。「嚥下(えん・げ)障害」と呼ばれ、肺に唾液が流れ込みやすい就寝時が特に危険とされる。2011年の厚生労働省の人口動態統計によると、肺炎で亡くなった65歳以上の高齢者は約12万人で、全体の約11%。主な原因の一つが誤嚥とみられている。

誤嚥性肺炎の予防には口の中を清潔にし、訓練で筋肉を鍛えるほか、唾液腺を刺激して自浄作用がある唾液を増やすなどの専門的なケアが重要だ。約5年前から口腔ケアに取り組む際波あかり苑の関連施設では、かつて入居者が入院する理由の4割が肺炎だったが、昨年度は2割まで減ったという。(中略)

◆のみ込む力訓練・呼吸器リハビリも効果

のみ込む力を回復させたり肺の機能を維持したりするための訓練も、誤嚥性肺炎の予防につながる。

耳鼻咽喉(いん・こう)科かめやまクリニック(山口市)では週2日、「嚥下障害外来」を開く。金谷浩一郎院長(54)は「のどや脳の血管などの持病がない限り、嚥下の診察や訓練を受ける機会はまずない」と話す。言語聴覚士(ST)が氷の棒でのどの奥を刺激して反射を促す訓練や息を止めてのみ込む訓練などをする。STは言葉や声、食べる機能の回復訓練の専門家だ。食事では一般的にパサパサした粉っぽいものや、粘度が低い水などが誤嚥を引き起こしやすい。症状によって薬剤でとろみをつけたり、食材の大きさに気を配ったりする必要がある。「食事の際、のみ込む動作を自分で意識してほしい。むせるのは危険なサイン」と金谷院長。

岡山労災病院(岡山市)では肺の機能維持を目的に「呼吸器リハビリ」を実施する。自転車こぎや歩行訓練に加え、呼吸法やたんの出し方も教える。リハビリ後は「自然にたんが出た」と話す患者が多いという。同院中央リハビリテーション部の武田正則部長(47)は、「寝たきりの人も起きて車いすに乗り、リハビリ室に来てもらう。少しずつ動いてもらうことが一番の肺炎予防」と語る。

岡山県健康づくり財団付属病院(岡山市)では外来で同様の訓練を受けられる。呼吸器内科が専門の西井研治院長(57)は「寝ている時間が多ければ誤嚥が起きやすい」。経験上、リハビリをしている人ほど肺炎になりにくいという。(原篤司、長崎緑子)

■嚥下能力低下のサイン

・食事の度に頻繁にむせる

・何も食べていないのに唾液でむせる

・慢性的にせきが続くことがある

・食事をのみ込みにくいと感じる

・肺炎で複数回入院したことがある

※金谷院長への取材から

■自宅でできる嚥下体操の例((1)~(10)の順にする)

(1)深呼吸 (2)首を回す (3)肩を上下に動かす (4)両手を頭上で組み、体を左右に曲げる

(5)ほおをふくらませたり、ひっこめたりする (6)舌を前後に出し入れする

(7)舌で左右の唇の端に触れる (8)強く息を吸い、止めて三つ数えて吐く

(9)パパパ、タタタ、カカカなどと発声する (10)深呼吸

※耳鼻咽喉科かめやまクリニックへの取材から

>>>ご存知の方も多いと思いますが、あらためて

パネルディスカッション 健康人は歯が命 (「認定スポーツデンティスト」養成へ)

yomiDr. (YOMIURI ONLINE)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=68153

定期検診が不可欠

倉治ななえさん

――子どものむし歯は減ってきているようですが、大人の状況はどうでしょうか。

羽村 特に高齢者は、歯と歯茎の間、つまり歯の根元にできるむし歯が問題になっています。自分では見つけにくく、歯が折れて初めて気付くこともよくあります。詰めることができない場所なので治療も難しい。定期検診での、予防や早期発見が大切です。

――昨年8月に歯科口腔保健法が施行されました。私たちの生活にどう影響を及ぼすのでしょうか。

倉治 歯科の定期検診は、むし歯の予防や早期発見に欠かせません。口の中を良い状態に保つことは、全身の健康にもつながるのに、公的な取り組みは不十分です。

今回の法律では、「国民の歯を守ることは国や自治体の責務」とされました。これは、生涯を通した切れ目のない公的な歯科検診を行う裏付けになりました。施行から1年たち、同じ趣旨の条例を策定する都道府県や市町村も広がりつつあります。

公的検診の充実のために、皆さんもぜひ、お住まいの自治体に「条例の策定はまだですか」「公的な歯科検診はないのですか」と声をあげていただきたいと思います。

――村上さんは、アスリートとして歯の健康で気をつけていることはありますか。

村上 やり投げでは、ひじやひざに負担がかかり、痛むことがよくあります。でも本番になれば、競技に集中しているのであまり痛みを感じません。しかし歯が痛むとなると、そうはいかないと思います。競技中でも相当気になり、集中できなくなってしまうでしょう。パフォーマンスに影響を及ぼさないよう、普段から、日常の歯磨きなど当たり前のことを続ける基本を大切にしています。

キシリトール入りガム活用

村上幸史さん

――むし歯予防には、キシリトールも効果的とのお話がありました。具体的な使い方を教えてください。

羽村 キシリトール入りのガムでは、1日3回以上、できれば5回かんでください。朝、昼、晩の食後3回のほか、おやつの後と寝る前です。大人の場合だと、量は1日最低でも5グラム(市販のガムなら1パック程度)、できれば10グラム近くを、最低3か月続けないと効果は出ません。習慣として取り入れてほしいと思います。

フィンランドでは、1972年に国民健康法ができて、予防を重視するようになりました。国民も、キシリトール入りの製品を積極的に使うことでむし歯を減らすことができました。

もちろん、キシリトールだけで完全に予防ができるわけではありません。フィンランドの人たちは、きちんと歯科医に通っています。口の中を健康に保つには、歯科医や歯科衛生士の力が必要だと理解しているからです。

村上 フィンランドではやり投げが盛んです。合宿で何度も訪れました。フィンランドの選手はみな、良い笑顔です。むし歯がないきれいな歯だからでしょう。キシリトール入りのガムもよくかんでいます。私も、かかりつけの歯科医のアドバイスで、試合中にはかめませんが、リラックスしたい、落ち着きたい、という時にかんでいます。

――スポーツ選手は、競技中に歯を食いしばることもあると思いますが、かなりの負担がかかるのでしょうか。

下山 歯を強くかむ力を測定すると、ほぼその人の体重程度になりますが、スポーツ選手だと、私たちよりはるかに高い数値かもしれません。くいしばると、かむ筋肉を強く収縮させ痛みを招いたり、血圧の上昇や呼吸の乱れを起こしたりする恐れがあります。歯にも負担がかかり、歯が割れたりすり減ったりします。

村上 ウエートトレーニングの時には、歯に負担がかかると思うのでマウスガード(マウスピース)を装着しています。ただ、やり投げの競技中は、常時食いしばるわけではありません。遠くにやりを投げるためには、投げる瞬間に一気に力を加えます。その時だけ食いしばるわけです。

コーディネーター 南砂・医療情報部長

下山 マウスガードは、選手同士が激しくぶつかり合うコンタクトスポーツをする際のけが予防としても、重要です。市販品もありますが、きちんと歯科で歯型をとってもらい、歯並びや口の形に合うように、細かな調整をして作ったマウスガードを入れてほしいと思います。

――昨年は、スポーツ基本法も成立しました。これからはスポーツ専門の歯科医養成にも力が入るようです。どのような取り組みでしょうか。

倉治 法律では、スポーツに関する研究や施策に関わる学問として、医学や生理学と並んで「歯学」も位置づけられ、スポーツ基本計画が策定されました。これを受けて来年度から、日本歯科医師会と日本体育協会が、スポーツ専門の歯科医「認定スポーツデンティスト」を養成することになりました。2年間かけて学ぶので、誕生するのは3年後になります。

今後はスポーツデンティストが、公的な立場でオリンピックや国体へ同行し、選手のパフォーマンスの向上に貢献できると思います。

 

2012年11月16日 読売新聞)

 >>>>北欧の話を聞くたびに 歯科医師は国民から必要とされていることを羨ましく感じています。日本では まだまだですね。これはなぜでしょうか? 歯を大切にすることで自分の健康が良好に保たれること、国民一人一人に浸透していないから、も一つでしょう。他にもあるはず。

基調講演 よくかんで肥満予防

yomiDr. (YOMIURI ONLINE)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=68097

私たちが食事をする時には、緊張をほぐし、消化吸収を促進する副交感神経が働きます。幸せな気分が得られる神経伝達物質「エンドルフィン」が脳内に分泌されます。

でも、ただ食べれば楽しくリラックスできる、というわけではありません。家族や仲間の存在と、健康な歯が欠かせません。

私は、高齢者の歯科を担当しています。一人一人を診察する際には、きちんとかんで食べているかをしっかり確かめています。

かむことには様々な効用があります。

大きな音を聞かせることで人にストレスを与える研究では、ガムをかんでいる時は、ガムをかんでいない時に比べると、感じているストレスの度合いが44%も軽減していました。

また、長野県のある小学校では、給食の時に、かむ回数を数えるようにしました。すると、よくかんで食べるようになり、味が分かるようになり、給食を残す量が減りました。さらに分かったことは、肥満の児童は、肥満でない児童に比べて、かむ時間が約3分短かったのです。

ゆっくりとよくかむことは、肥満を予防します。よくかむことは、脳の満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを抑えます。体脂肪を燃やして体重を減らす効果があるとも言われています。よくかまずに短時間に大量に食べると、血糖値が急激に上昇し、インスリンの分泌が増えて糖が脂肪組織に取り込まれ、肥満につながります。

いま話題のメタボリックシンドロームの健診で、「何でもかんで食べられるか」という質問をしたところ、よくかめない人は、血糖値や中性脂肪、肥満度の目安となる体格指数(BMI)が高い、という結果が出ています。

かむことは、脳の血流を増やし、認知症の予防につながると言われています。歯を失うとアルツハイマー型認知症になりやすい、との研究が1990年ごろから出てきました。

アルツハイマー型認知症は、食生活とも関係しています。野菜や果物、魚をよく食べると予防になります。簡単にできそうでも、歯が痛んだり、上手にかめなかったりすると、とても実践できません。

最後に、かむ能力「咀嚼(そしゃく)能力」と、健康で暮らせる期間「健康余命」の研究について話します。みなさんは、普段の食事でかみ切れる食品のうち、最も硬いものは何でしょうか。

4000人以上のデータを分析した研究では、さきいかやたくあんをかみ切れる65歳の人の健康余命は、男性17年、女性19年と報告されており、かみ切れない人の健康余命(男性14年、女性16年)の人より明らかに長くなっています。

いつまでも元気で人生を楽しむため、まず、きちんとかめるようにしましょう。普段から、歯や義歯を手入れし、歯や義歯の具合が悪ければ、歯科医に相談することが大切です。

2012年11月15日読売新聞

>>>身につまされるのは、私だけ?