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そもそも口臭は、生理的なものとして誰にでもある。ただ、様々な要因で口臭が強くなり、常態化する「病的口臭」になると治療が必要になってくる。ニンニク、アルコールやたばこなどが原因の「飲食物・嗜好品による口臭」もある。
細菌の働きで発生
新陳代謝ではがれた歯ぐきや頬などの粘膜や細菌の死がいなどのたんぱく質成分を口の中の細菌が分解し、口臭の原因物質(揮発性硫黄化合物)を作り出す。東京医科歯科大大学院教授で歯学部付属病院(東京都文京区)息さわやか外来の川口陽子診療科長によると「口臭は一般に朝起きた時点がもっとも強い」。寝ている夜間は唾液の分泌が減り、口内に細菌が増殖、口臭の原因物質が多く発生するからという。
唾液は食べ物を湿らせて飲み込みやすくしたり、消化を助けたりするほか、口の中をきれいにする働きもする。生理的口臭は唾液が少なくなる空腹時にも強まる傾向にあり、1日の間でも変化する。
「緊張状態が続いたり、ストレスが多かったりしても口臭はきつくなる」と川口教授。こうした状況下も唾液量が減るためだ。指摘されたら「体が休息を求めているサイン」と思い、疲れをとるといいだろう。
ニンニクやアルコール類などを大量に摂取した人の息がくさいのはだれもが知るところ。これも時間の経過とともに弱まる一時的なものと考えていい。
やっかいなのが病的口臭だ。においが常態化するため、仕事などに支障をきたしかねない。その主原因は歯周病や舌苔(ぜったい)など、口内にあると考えられている。
歯周病を引き起こす歯周病菌にも、たんぱく質を分解して口臭の原因物質を発生させる酵素が含まれている。口内を清潔に保って歯周病を予防しよう。まずは歯ブラシや歯間ブラシなどで、ていねいに口の中を掃除する。歯科医院で定期的に歯石を取り除いてもらうのもいいだろう。
中高年世代に口臭が強い人が増えるのは、歯周病の増加や唾液の分泌量が加齢とともに減少することなどに関係している。
一方、鏡に向かって舌を出すと、表面に白や黄色みがかった苔(こけ)状のものがついている人がいるはずだ。これが舌苔。はがれた粘膜上皮などがもとになりできるもので、これを細菌が分解することで口臭の原因物質が生まれる。
舌苔を落とすには柔らかめの歯ブラシか、舌苔を落とすために先端がへら状やブラシ状になっている専用器具「舌ブラシ」などを使う。ブラシを水でぬらし、舌の奥の方から手前に軽くかき出すようにする。舌の表面には味覚を感じる味蕾(みらい)がある。優しく、味蕾を傷つけないよう注意する
ただ、舌苔が付着しているからといって、必ずしも他人を不快にさせるほどの口臭があるとは限らない。「舌のそうじは鏡を見ながら1日1回にとどめる。なお口臭が続く場合は歯科医師に相談するといい」(川口教授)
専門外来が増加
近年、「口臭外来」を設置する大学病院なども増えてきた。東京歯科大千葉病院(千葉市)もその一つ。口臭の有無を機器などでチェックして分析、原因などを探ってくれる。同病院で口臭外来を担当する亀山敦史准教授は「実際は口臭がないのに、相手のしぐさなどから、くさいと思い込み、来院する患者も少なくない」という。
口臭発生の原因は大半が口内にあるものの、副鼻腔(びくう)炎や糖尿病など別の病気に起因する場合もあり侮れない。口臭を分析して病気が特定できれば検査の負荷が軽減できるが、まだその段階までには至っていないという。口臭外来は保険適用外で実費負担が原則。同千葉病院の場合、初診料と検査費用で約5000円かかるという。
■指摘は体調を気遣う形で
自分の口臭は相手が不快になるほどにおうのか、自分ではよくわからないのが悩ましい。逆に相手の口臭が鼻をついても、面と向かって「くさい」とは言いづらい。東京歯科大千葉病院の亀山准教授は「相手の体調を気遣う形で伝えるといい」とアドバイスする。例えば「体調は大丈夫?」「具合でも悪いの?」と尋ねて、それとなく指摘する方法だ。
最近は口臭対策グッズも増えている。タニタ(東京都板橋区)は簡易に口臭を測れる「ブレスチェッカー」を2003年に発売、累計43万個が売れた。洗口剤は口臭予防に有効とされる。成分に塩化亜鉛を含むものは口臭を減少させる効果が強く、亜塩素酸ナトリウムを含むものは極めて強い酸化剤として抗菌作用などがあるという。花粉症で鼻が詰まり口で呼吸することが多い人は口内が乾燥しがち。ガムをかんで唾液の分泌を促し口臭を予防しよう。
>>口臭=歯の要因と考えがちですが、他の要因があることも伝えていかないといけないですね。