犬や猫などから人間にうつるとされる人獣共通感染症「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」で国内初の死亡例が発覚し、ペットの飼い主らに動揺が広がっている。亡くなった福岡県の60代女性は猫の餌やりからの感染が疑われた。ペットや野良猫から人間にうつる病気は多く、専門家は「動物とは適度な距離を保って」と呼びかける。「近所の野良猫は大丈夫か」。飲食店が多く、ネズミ対策として多くの野良猫がいる東京都台東区の保健所には16日、区民からそんな問い合わせが寄せられた。同区ではボランティアが野良猫の不妊去勢手術や餌やりを行い、「地域猫」として見守りを続ける。過去にはボランティアが猫にかまれ、その後、傷が悪化した例もあった。台東保健所は「今回の感染症に限らず、動物からの感染症の対策は重要だ。ボランティア向けに講習会を開き、糞を片付けるなどの防止策を伝えている」という。加藤勝信厚生労働相はこの日の会見で「過度に懸念をあおってはいけないが、必要な情報をしっかり提供していく」と強調した。国立感染症研究所によると、平成29年11月末までに報告されているコリネバクテリウム・ウルセランス感染症の感染例は25件。多くはペットとして猫や犬を飼っていたり、野良猫に餌をやったりするなど動物との接触があった。
動物から人間にうつる感染症は多いが、ペットの数や室内飼いの増加によりペットから人への感染は増加傾向という。山口大共同獣医学部の前田健教授は「狂犬病がなくなった日本では、動物にかまれることの危険性が忘れられている」と指摘する。犬や猫の多くが持つパスツレラ菌は、犬や猫には無症状だが、かまれたり引っかかれたりして人間が感染すると肺炎や髄膜炎を起こし死亡することもある。多くの動物がもつ寄生虫「トキソプラズマ」は妊婦が初めて感染すると、胎児に障害が出る恐れがある。麻布大獣医学部の宇根有美教授は「飼い主は動物自体の健康管理をしっかりしてほしい」と話す。「家族関係が希薄になる中、ペットと人との距離感が近くなっている」と指摘する日本大医学部の荒島康友助教は「唾液など動物の体液は感染源だ」として、口移しで餌をやったり同じ布団で寝たりするなどの過剰な接触は避けるよう注意を促している。(道丸摩耶)
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産経ニュース 2018.1.16
http://www.sankei.com/life/news/180116/lif1801160023-n2.html
人獣共通感染症についての話題です。人獣共通感染症は人間と動物の双方が共通してかかる感染症で、全感染症の半数を占めるとされており、エボラ出血熱やペストなど、致死率の高い感染症も多いとされています。日本国内でも、野良猫にかまれて重症熱性血小板減少症候群となり女性が死亡した例があり、身近な動物から感染して死亡する例が国内でもまれに報告されています。過度な接触については、注意が必要なのかもしれませんね。