岐阜市の歯科医院で、男性院長が患者の男に刺殺された事件から27日で1週間。犯行動機は治療を巡る不満とみられている。医療現場では、患者やその家族から暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりする例は少なくなく、「モンスターペイシェント(患者)」に対応した医師は7割に上るとのデータもある。だが警察に届け出られず、院内で問題を抱え解決しようとするケースが多いのが実態だ。全日本病院協会が2008年4月に発表した調査結果によると、回答した1106病院のうち52.1%が暴力や暴言などを経験。医療従事者向けサイトを運営する「ケアネット」(東京都)の13年2月のサイト会員医師千人への調査でも、7割近くの医師が暴力や暴言、理不尽な要求などを繰り返す「モンスターペイシェント」の対応経験があると答えている。近年では、13年に北海道三笠市の総合病院の診察室で医師が患者に刺殺された。14年には札幌市で医師が患者に刃物で切り付けられ重傷を負った。「クレームのようなものはほぼ毎日ある」。岐阜市内の総合病院の男性職員は漏らす。医療結果が意に沿わないとか、医師の態度が気にくわない、待ち時間が長いなど、患者からのクレームはさまざまだ。
暴力にまで発展するケースは少ないというが、万一に備え、この病院では未然の備え、事件発生後の対応マニュアルを独自に作成。発生事案を共有する報告会も行っている。「自分たちの身は自分たちで守るという意識は強い」という。保安職員として勤務する警察OBの男性は「脅迫や強要など刑事事件に当たるものも多い。現役時代は全く知らず、正直驚いた」と実情を語る。事案の多さに比べ、警察への届け出が少ない背景には、医療機関特有の理由があるようだ。病院や歯科医師向け顧問弁護士を務める東京の法律事務所の弁護士などによると、事件化されると捜査期間中は他の患者への診療に支障が出たり、「怖い患者がいる」などの評判が広がり「風評被害」を受けるのを危惧したり、仕返しを恐れたりするからだという。診療は正当な理由がない限り拒むことはできないことも、事態がエスカレートする一因という。医療機関向けの暴力防止啓発ポスターの制作などに取り組む筑波大医学医療系の三木明子准教授は「病院の規模などによって対策はそれぞれ違う。警察への通報はもちろん、病院や診療所間での横のつながりを生かした連携を取る必要もある」と指摘している。
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岐阜新聞WEB 2017.1.27
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20170127/201701270845_28893.shtml
今回の事件は非常にショッキングでした。私自身は、患者さんから凶器をむけられるといった経験はないのですが、病院敷地内で暴れられたり、暴言をはかれたり等の経験はあります。トラブルが起きたとき、どのタイミングで、どのような対応を行うか、ある程度のマニュアルは用意していますが、今回の事件からも、マニュアル強化や横のつながりを生かした連携を取る必要性を痛感しました。忘れてはいけない事件だと思います。