放射線の一種、中性子線を活用してがんを治療する施設が国立がん研究センター中央病院(東京)に完成した。早ければ来年春にも患者を対象にした臨床試験(治験)を開始したいとしている。 同病院の伊丹純放射線治療科長によると、この治療は「ホウ素中性子捕捉療法」と呼ばれ、中性子線をホウ素に当てると、アルファ線という別の放射線が出る原理を利用する。
まず、がんに集まりやすいアミノ酸にホウ素をくっつけた物質を、患者に点滴で投与する。次に、患者の体外から中性子線を照射すると、がん細胞の中でホウ素からアルファ線が発生し、がん細胞を破壊する仕組みだ。アルファ線は、ほぼがん細胞の中にとどまり、周囲の細胞への影響は小さいという。この治療法は米国で1950年代から研究されていたが、中性子を取り出すのに原子炉が必要で、患者を原子力施設まで運ばなければならないという難点があった。研究が進展して原子炉は不要になり、市街地の医療機関にも設置できるシステムが開発された。同病院の施設は、診療棟の地下に設置された加速器で加速した陽子をリチウムの的に当てて中性子を発生させる。
実際の治験では、ホウ素ががん細胞に多く集まって正常細胞には少ないことを検査で確かめてから中性子を照射する予定。将来は、ホウ素を確実にがん細胞だけに取り込ませる手法の開発を目指すという。治験についての問い合わせは国立がん研究センター中央病院の代表電話03・3542・2511まで。
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産経ニュース 2016年5月31日
http://www.sankei.com/life/news/160531/lif1605310010-n1.html
まだ、「治験を開始したい」というレベルの状態ですので、副作用の有無を含めた臨床応用の可能性については、まだ言及が難しいようです。ただ、この治療方法では、以前よりも正常細胞を破壊するリスクが低くなる可能性が示唆されているため、患者さんへの体への負担が少なくなることが期待できそうです。今後にも要注目ですね。