apital(朝日新聞) http://apital.asahi.com/article/nagao/2012121500002.html
抗がん剤の止め時 長尾和宏
頭頚部という言葉は、一般の方には聞き慣れないでしょう。 口と喉のがんのことです。 口腔がん、舌がん、咽頭がん、喉頭がん、などです。
医学生の時、いちばんショックだったのは、 頭頚部がんの患者さんが入院している病棟でした。 手術により、顔面を失った方を何人か見ました。
実は、現在もずっと在宅現場で頭頚部がんを診ています。 咽頭がん、喉頭がん、口腔がん、舌がんなどの特徴は、 タバコと関連が深いことです。
みなさん、顔面や声を失ってからはじめて、 タバコを後悔されます。 私が「禁煙で人生を変えよう 騙されている日本の喫煙者」を 書いたのもそんな動機です。
頭頚部がんの治療は、まず手術です。 一方、放射線もよく効きます。 抗がん剤としては、シスプラチンが用いられます。
咽頭がんの抗がん剤治療として、5-FUとシスプラチンと タキソテールというお薬が併用されます。 パラプラチンやTS-1やブレオマイシンなども使われます。
喉頭がんでは、手術以外にはレーザー手術が行われます。 若くて、がんが浅くて、短期の治療を希望する人向けです。 早期の喉頭がんは、手術をすることはほとんどありません。
進行した喉頭がんの抗がん剤治療には、5-FU, シスプラチン、タキソテールの併用療法が行われます。 手術の場合、声帯を残すかどうかがポイントになります。
声を失う事はとても辛いことですから、 できるだけ声を残せる治療法が選ばれます。 声を失った場合は、代用音声という方法を使います。
食道発声、電気喉頭、気道食道シャント法などです。 声を失う可能性がある患者さんは、手術前に食道発声を練習します。 また喉頭摘出術を受ければ、身体障害者3級に認定されます。
口腔がんには、舌がん、歯肉がん、口腔底がんなどがあります。 口腔がんは、70代が多く、男性が7割を占めます。 口内炎と似ているため、早期発見できないことがあります。
早期の舌がんには、手術と放射線療法が用いられます。 放射線療法には、外部照射だけでなく、体内で照射する 小線源療法があります。
小線源療法は、セシウムを封入した針、イリジウムを封入したピン、 金を白金で包んだ金粒子(ゴールドグレン)が使われます。 しかし、この治療法の実施施設は、いまだ少ないのが現実です。
さて、舌がんは術後再発が高い病気です。 1~2年後に、再発が見つかることがよくあります。 局所再発には化学放射線療法が行われます。
遠隔転移があれば、5-FUとシスプラチンと タキソテールの併用療法が行われています。 しかし舌がんは、抗がん剤が効きにくいがんです。
【PS】 昨日の昼休みに、全国3000人の看護師さんに 在宅医療についての講演をしました。 どうしてそんなことが可能なのか。
衛星中継を使って、全国30カ所の会場に配信される という研修システムを日本看護協会が持っているためです。 今年で3回目です。
全国から、たくさんの感想メールが届いています。 看護師さんの生の声は、とても参考になります。 機会があれば、またご紹介させていただきます。
>>> 現場にいるといろいろ経験します。歯科でも同じ。
