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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120905-00000009-cbn-soci
日本医師会の石川広己常任理事は5日の記者会見で、8月28日に発行された厚生労働白書で引用している「社会保障に関する国民意識調査」の「所得の高い人は、所得の低い人よりも、医療費を多く払って、よりよい医療を受けられる」との考え方が正しいとする国民が半数近くに達しているとの記述について、「公的医療保険の給付の範囲縮小に向けて、調査が恣意的に活用されたものと考えざるを得ない」と述べ、調査手法などに問題点があるとの認識を示した。
厚生労働白書と同じ28日に発表された「社会保障に関する国民意識調査」と白書について、石川常任理事は、▽医療を直接的に質問した項目はほとんどないにもかかわらず、白書は、国民が所得の違いによって医療に格差が生じることを容認しているという結果を強調▽民間会社のネットリサーチに登録したモニタに回答を依頼しており、このサイトの登録者が国民を代表しているか疑問▽先進諸国との比較と日本の経年比較が掲載されているが、その調査と今回の調査は手法が異なる―などの問題点を列挙した。
石川常任理事は、「手法が異なる調査結果を一つのグラフにして比較したり、各国で公的医療保険制度が大きく異なるにもかかわらず表面的かつ第三者的な考察を行うなど、初歩的な課題がある」と指摘。さらに、今年4月に発表された日医総研の「日本の医療に関する意識調査」を引用し、「所得の高い低いによって、受けられる医療の中身が異なるのはやむを得ないという考え方に賛同する国民は1割強にとどまっており、増加傾向は見られない。日本人は、所得によって受けられる医療に格差のない社会を望んでいることは明らかである」と述べた。
日医定例記者会見 9/5 厚生労働省「社会保障に関する国民意識調査」について
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120905_2.pdf