肺炎予防に口腔ケア

My Town 鳥取(朝日新聞)

http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000531211170001

「たかが肺炎」と甘くみてはいけません。高齢者が亡くなる原因として肺炎は脳血管疾患より多く、がん、心臓病に次ぐ第3位。口の中を清潔に保ち、のみ込む力を鍛えるなど普段からできるケアを取り上げます。

◆「誤嚥性」、就寝時が要注意

今月5日、山口県宇部市の有料老人ホーム「際波あかり苑」。ほかお歯科クリニック(同市)の歯科医、島津正隆さん(38)らが診療車でやって来た。月に1度の口腔(こう・くう)ケアの日だ。(中略)この施設では今年6月のオープン当初から、専門家の定期的な口腔ケアを入居者に勧めている。細菌を含んだ食べかすや唾液(だ・えき)が気管から肺に入り込むと炎症を起こし、「誤嚥(ご・えん)性肺炎」になることがあるためだ。

誤嚥は病気や加齢で口やのどの筋肉が緩むなどし、のみ込む力が低下するために起きる。「嚥下(えん・げ)障害」と呼ばれ、肺に唾液が流れ込みやすい就寝時が特に危険とされる。2011年の厚生労働省の人口動態統計によると、肺炎で亡くなった65歳以上の高齢者は約12万人で、全体の約11%。主な原因の一つが誤嚥とみられている。

誤嚥性肺炎の予防には口の中を清潔にし、訓練で筋肉を鍛えるほか、唾液腺を刺激して自浄作用がある唾液を増やすなどの専門的なケアが重要だ。約5年前から口腔ケアに取り組む際波あかり苑の関連施設では、かつて入居者が入院する理由の4割が肺炎だったが、昨年度は2割まで減ったという。(中略)

◆のみ込む力訓練・呼吸器リハビリも効果

のみ込む力を回復させたり肺の機能を維持したりするための訓練も、誤嚥性肺炎の予防につながる。

耳鼻咽喉(いん・こう)科かめやまクリニック(山口市)では週2日、「嚥下障害外来」を開く。金谷浩一郎院長(54)は「のどや脳の血管などの持病がない限り、嚥下の診察や訓練を受ける機会はまずない」と話す。言語聴覚士(ST)が氷の棒でのどの奥を刺激して反射を促す訓練や息を止めてのみ込む訓練などをする。STは言葉や声、食べる機能の回復訓練の専門家だ。食事では一般的にパサパサした粉っぽいものや、粘度が低い水などが誤嚥を引き起こしやすい。症状によって薬剤でとろみをつけたり、食材の大きさに気を配ったりする必要がある。「食事の際、のみ込む動作を自分で意識してほしい。むせるのは危険なサイン」と金谷院長。

岡山労災病院(岡山市)では肺の機能維持を目的に「呼吸器リハビリ」を実施する。自転車こぎや歩行訓練に加え、呼吸法やたんの出し方も教える。リハビリ後は「自然にたんが出た」と話す患者が多いという。同院中央リハビリテーション部の武田正則部長(47)は、「寝たきりの人も起きて車いすに乗り、リハビリ室に来てもらう。少しずつ動いてもらうことが一番の肺炎予防」と語る。

岡山県健康づくり財団付属病院(岡山市)では外来で同様の訓練を受けられる。呼吸器内科が専門の西井研治院長(57)は「寝ている時間が多ければ誤嚥が起きやすい」。経験上、リハビリをしている人ほど肺炎になりにくいという。(原篤司、長崎緑子)

■嚥下能力低下のサイン

・食事の度に頻繁にむせる

・何も食べていないのに唾液でむせる

・慢性的にせきが続くことがある

・食事をのみ込みにくいと感じる

・肺炎で複数回入院したことがある

※金谷院長への取材から

■自宅でできる嚥下体操の例((1)~(10)の順にする)

(1)深呼吸 (2)首を回す (3)肩を上下に動かす (4)両手を頭上で組み、体を左右に曲げる

(5)ほおをふくらませたり、ひっこめたりする (6)舌を前後に出し入れする

(7)舌で左右の唇の端に触れる (8)強く息を吸い、止めて三つ数えて吐く

(9)パパパ、タタタ、カカカなどと発声する (10)深呼吸

※耳鼻咽喉科かめやまクリニックへの取材から

>>>ご存知の方も多いと思いますが、あらためて

パネルディスカッション 健康人は歯が命 (「認定スポーツデンティスト」養成へ)

yomiDr. (YOMIURI ONLINE)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=68153

定期検診が不可欠

倉治ななえさん

――子どものむし歯は減ってきているようですが、大人の状況はどうでしょうか。

羽村 特に高齢者は、歯と歯茎の間、つまり歯の根元にできるむし歯が問題になっています。自分では見つけにくく、歯が折れて初めて気付くこともよくあります。詰めることができない場所なので治療も難しい。定期検診での、予防や早期発見が大切です。

――昨年8月に歯科口腔保健法が施行されました。私たちの生活にどう影響を及ぼすのでしょうか。

倉治 歯科の定期検診は、むし歯の予防や早期発見に欠かせません。口の中を良い状態に保つことは、全身の健康にもつながるのに、公的な取り組みは不十分です。

今回の法律では、「国民の歯を守ることは国や自治体の責務」とされました。これは、生涯を通した切れ目のない公的な歯科検診を行う裏付けになりました。施行から1年たち、同じ趣旨の条例を策定する都道府県や市町村も広がりつつあります。

公的検診の充実のために、皆さんもぜひ、お住まいの自治体に「条例の策定はまだですか」「公的な歯科検診はないのですか」と声をあげていただきたいと思います。

――村上さんは、アスリートとして歯の健康で気をつけていることはありますか。

村上 やり投げでは、ひじやひざに負担がかかり、痛むことがよくあります。でも本番になれば、競技に集中しているのであまり痛みを感じません。しかし歯が痛むとなると、そうはいかないと思います。競技中でも相当気になり、集中できなくなってしまうでしょう。パフォーマンスに影響を及ぼさないよう、普段から、日常の歯磨きなど当たり前のことを続ける基本を大切にしています。

キシリトール入りガム活用

村上幸史さん

――むし歯予防には、キシリトールも効果的とのお話がありました。具体的な使い方を教えてください。

羽村 キシリトール入りのガムでは、1日3回以上、できれば5回かんでください。朝、昼、晩の食後3回のほか、おやつの後と寝る前です。大人の場合だと、量は1日最低でも5グラム(市販のガムなら1パック程度)、できれば10グラム近くを、最低3か月続けないと効果は出ません。習慣として取り入れてほしいと思います。

フィンランドでは、1972年に国民健康法ができて、予防を重視するようになりました。国民も、キシリトール入りの製品を積極的に使うことでむし歯を減らすことができました。

もちろん、キシリトールだけで完全に予防ができるわけではありません。フィンランドの人たちは、きちんと歯科医に通っています。口の中を健康に保つには、歯科医や歯科衛生士の力が必要だと理解しているからです。

村上 フィンランドではやり投げが盛んです。合宿で何度も訪れました。フィンランドの選手はみな、良い笑顔です。むし歯がないきれいな歯だからでしょう。キシリトール入りのガムもよくかんでいます。私も、かかりつけの歯科医のアドバイスで、試合中にはかめませんが、リラックスしたい、落ち着きたい、という時にかんでいます。

――スポーツ選手は、競技中に歯を食いしばることもあると思いますが、かなりの負担がかかるのでしょうか。

下山 歯を強くかむ力を測定すると、ほぼその人の体重程度になりますが、スポーツ選手だと、私たちよりはるかに高い数値かもしれません。くいしばると、かむ筋肉を強く収縮させ痛みを招いたり、血圧の上昇や呼吸の乱れを起こしたりする恐れがあります。歯にも負担がかかり、歯が割れたりすり減ったりします。

村上 ウエートトレーニングの時には、歯に負担がかかると思うのでマウスガード(マウスピース)を装着しています。ただ、やり投げの競技中は、常時食いしばるわけではありません。遠くにやりを投げるためには、投げる瞬間に一気に力を加えます。その時だけ食いしばるわけです。

コーディネーター 南砂・医療情報部長

下山 マウスガードは、選手同士が激しくぶつかり合うコンタクトスポーツをする際のけが予防としても、重要です。市販品もありますが、きちんと歯科で歯型をとってもらい、歯並びや口の形に合うように、細かな調整をして作ったマウスガードを入れてほしいと思います。

――昨年は、スポーツ基本法も成立しました。これからはスポーツ専門の歯科医養成にも力が入るようです。どのような取り組みでしょうか。

倉治 法律では、スポーツに関する研究や施策に関わる学問として、医学や生理学と並んで「歯学」も位置づけられ、スポーツ基本計画が策定されました。これを受けて来年度から、日本歯科医師会と日本体育協会が、スポーツ専門の歯科医「認定スポーツデンティスト」を養成することになりました。2年間かけて学ぶので、誕生するのは3年後になります。

今後はスポーツデンティストが、公的な立場でオリンピックや国体へ同行し、選手のパフォーマンスの向上に貢献できると思います。

 

2012年11月16日 読売新聞)

 >>>>北欧の話を聞くたびに 歯科医師は国民から必要とされていることを羨ましく感じています。日本では まだまだですね。これはなぜでしょうか? 歯を大切にすることで自分の健康が良好に保たれること、国民一人一人に浸透していないから、も一つでしょう。他にもあるはず。

基調講演 よくかんで肥満予防

yomiDr. (YOMIURI ONLINE)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=68097

私たちが食事をする時には、緊張をほぐし、消化吸収を促進する副交感神経が働きます。幸せな気分が得られる神経伝達物質「エンドルフィン」が脳内に分泌されます。

でも、ただ食べれば楽しくリラックスできる、というわけではありません。家族や仲間の存在と、健康な歯が欠かせません。

私は、高齢者の歯科を担当しています。一人一人を診察する際には、きちんとかんで食べているかをしっかり確かめています。

かむことには様々な効用があります。

大きな音を聞かせることで人にストレスを与える研究では、ガムをかんでいる時は、ガムをかんでいない時に比べると、感じているストレスの度合いが44%も軽減していました。

また、長野県のある小学校では、給食の時に、かむ回数を数えるようにしました。すると、よくかんで食べるようになり、味が分かるようになり、給食を残す量が減りました。さらに分かったことは、肥満の児童は、肥満でない児童に比べて、かむ時間が約3分短かったのです。

ゆっくりとよくかむことは、肥満を予防します。よくかむことは、脳の満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを抑えます。体脂肪を燃やして体重を減らす効果があるとも言われています。よくかまずに短時間に大量に食べると、血糖値が急激に上昇し、インスリンの分泌が増えて糖が脂肪組織に取り込まれ、肥満につながります。

いま話題のメタボリックシンドロームの健診で、「何でもかんで食べられるか」という質問をしたところ、よくかめない人は、血糖値や中性脂肪、肥満度の目安となる体格指数(BMI)が高い、という結果が出ています。

かむことは、脳の血流を増やし、認知症の予防につながると言われています。歯を失うとアルツハイマー型認知症になりやすい、との研究が1990年ごろから出てきました。

アルツハイマー型認知症は、食生活とも関係しています。野菜や果物、魚をよく食べると予防になります。簡単にできそうでも、歯が痛んだり、上手にかめなかったりすると、とても実践できません。

最後に、かむ能力「咀嚼(そしゃく)能力」と、健康で暮らせる期間「健康余命」の研究について話します。みなさんは、普段の食事でかみ切れる食品のうち、最も硬いものは何でしょうか。

4000人以上のデータを分析した研究では、さきいかやたくあんをかみ切れる65歳の人の健康余命は、男性17年、女性19年と報告されており、かみ切れない人の健康余命(男性14年、女性16年)の人より明らかに長くなっています。

いつまでも元気で人生を楽しむため、まず、きちんとかめるようにしましょう。普段から、歯や義歯を手入れし、歯や義歯の具合が悪ければ、歯科医に相談することが大切です。

2012年11月15日読売新聞

>>>身につまされるのは、私だけ?